やさしい風と白い花 三号館

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【記事訳】[大学明日インタビュー]時には休みたい働きアリたちへ、NORAZO

こんにちは。もう10月ですね!

実は2か月前の8月4日に韓国の大学明日(テハンネイル)という20代向けのライフマガジンサイトからNORAZOのインタビュー記事が出ました。NORAZOの二人が7月にリリースしたアルバム「働きアリも時には一人でいたい」について、また仕事をするということについて、そして若者たちへのメッセージを真摯に深く語っています。

ブログの引っ越しもあって、ずいぶん遅くなりましたが、日本語訳してみたのでご紹介いたします。

時には休みたい働きアリたちへ、NORAZO
大丈夫って言うと嘘になるけれど 大丈夫だよ

2023 . 08 . 04
대학내일(大学明日/テハンネイル) Editor 문어(ムノ)


「笑わせるけれど面白いだけではないお兄さんたち」NORAZOが久しぶりにバラードで癒しのメッセージを伝える。「兄」以来14年ぶりだ。働きアリのように生きる勤め人、そして毎日を一生懸命に生きている20代へデビュー18年目の中堅歌手が伝える癒しとは何だろうか?

一息つくことさえ忘れそうなほど忙しいオフィスの中のNORAZOを写真に収めたくて、大学明日(テハンネイル)の社屋に来てもらった(心配していたよりアリの被り物は大きくなかった)。新しいアルバム「働きアリも時には一人でいたい」でカムバックしたNORAZOと共に彼らの音楽、そして仕事に対する考えを尋ねた。

画像出処:大学明日の記事よりお借りしました

Q:やはり芸能人は実物が違う。アリの被り物を取ったウォヌムさんの顔がこんなに小さいとは思わなかった。

チョビン:私と一緒にいるから顔が相対的に小さく見えるのだ。

ウォヌム:顔が少し面長タイプだ。アリの被り物の顔の部分が丸いので、被り物をかぶると上下に少し伸びるので大きく見えなくもない。

Q:チョビンさんは髪がかなり伸びた。被り物をかぶっているのにあえて髪を伸ばす必要があったのか?

チョビン:今は自分なりに自分の髪で何かやることについて自負心がある。三角おにぎりも、サイダーも作ってきた頭だから。今後、頭髪でまた何をやるのかわからない。短く切るより伸ばした方が、もっと色々やれる余地があるだろうと思って伸ばしている。

Q:今回のアルバム「働きアリも時には休みたい」は「兄」以来、久しぶりに発表したバラードだ。かなり意外だ。

チョビン:「兄」が2009年に出たのでほぼ14年ぶりだ。「兄」という歌がどういうわけかヒーリングソングの定番になった。元メンバーのイヒョクとの楽曲なので、そろそろウォヌムとも一つ決意の歌を作ってみたくて作曲家の先輩と飲みながら話し合った。「先輩、そろそろ『兄2』を作ってみませんか?」

ウォヌム:そうやって半月が過ぎたころに連絡がきた。「一つできた。」

チョビン:料理が出たらすぐに食べないとおいしくない。元々リリースしようと準備中だったシングル曲があったが、先に出てしまってシングルアルバムを出すことになった。

 

画像出処:大学明日の記事よりお借りしました


Q:「leave me alone」と「働きアリ」という二つのバラードトラックでシングルカットしたのも意外だ。ちょっとNORAZOらしくないなと思ったが。

チョビン:実は我々も、今回の楽曲を普通に歌うことにまだ慣れていない。それでアリの頭の被り物をかぶることにした。その代わり体はアリの胴体でなく、スーツを仕立ててカッコいい姿もちょっと交えて表現した。

Q:カッコいいと思っているようだ。バラードにこんな奇怪なコンセプトを織り込むのを誰も反対しなかったのか?

チョビン:「働きアリ」だからアリの被り物のコンセプトで行こうと話をしたら、幸いなことに反対する人はいなかった。

ウォヌム:「まあ、やりたいんだろうな」と思った。

Q:今回のアルバム「働きアリも時には一人でいたい」には「働きアリ」と「Leave me alone」の2曲がある。伝えたいメッセージがあったのか気になる。

ウォヌム:最近の人は「一生懸命働こう!」という気持ちと「一人でいたい」という気持ちの両方を持っていると思った。職場で「ファイト!」と叫びつつも、遅い時間に帰宅すると何もしたくないし、「私のことをほっといてくれ」という気持ちになるように。相反する二つのイメージを合わせてより大きなコンセンサスを得たかった。

Q:一方で「その」NORAZOがこのような深い話をするのは重すぎるとは思わなかったか?

チョビン:ここ数年の間に感覚が少し変わったと思う。人間関係が少しすさんできたと言うべきか。慰められても癒されていないようだし、つらい時「ファイト!」と叫べば乗り越えられていた昔とは違い、「つらいものはつらい」と認めてはじめて気持ちが楽になる時代になったのではないか。それで二つのやり方を選んだ。「働きアリ」でファイトを、「leave me alone」で癒しを伝えるやり方でだ。

Q:よりによって何故「働きアリ」だったのかも気になる

チョビン:アリのドキュメンタリー番組を見て思いついた。TVをつけたら偶然アリのドキュメンタリーをやっていた。一生懸命何かを運んでいたアリが水に押し流され、鳥が来て餌を取られて。こんないばらの道を歩く姿。野心満々で出て行き、ボロボロになって戻ってくる姿が、我々の人生と似ていると思った。

 

画像出処:大学明日の記事よりお借りしました

Q:歌「働きアリ」に『僕に期待する瞳を思い出して』という歌詞がある。二人がそれぞれ思い浮かべた瞳は何なのか気になる。

チョビン:まだ結婚していないので扶養すべき家族より、私のそばで私を支えてくれたスタッフ、同僚たちが思い浮かんだ。もちろん歌う時には、私の瞳を思い浮かべながら働いていたはずの両親の気持ちも考えてみようと思った。

ウォヌム:私はチョビン兄さんが私を見る瞳を思い浮かべた。

チョビン:そうかもしれない。「おい、もうちょっと動かないと」「ステージをもっと広く使わないと」今後その部分の歌詞を「私に強要する瞳を思い浮かべて」と替え歌してもよさそうだ。

Q:NORAZOは今「やりたいこと」をしているのか気になる。

ウォヌム:難しい質問だ。歌いたくて歌手になったのだから、やりたい事をしていると答えることができるだろう。しかし、「やりたい業種に従事すること」は「やりたい事をすること」とは違う。上がりたいステージがあり、そうでないステージがあるように。

チョビン:やるべき事をしなければならないという責任感を自覚しつつ、やりたい事をやっているところだ。歌いたくてNORAZOになったが、NORAZOに期待する人々のため、やるべき事をするのも我々の仕事だから。

Q:いつからそのような使命感と責任感を自覚するようになったのかも気になる。

チョビン:子供たちが我々の歌を聴きながら学校で踊り、家でダンスをする動画をDMで受け取ることがある。NORAZOは子供たちに影響を与える存在なのだと実感し、責任を自覚する。音楽番組で出会ったアイドルの後輩たちが「私、保育園で『スーパーマン』をたくさん歌っていました~。」と応援してくれたりもする。

ウォヌム:「スーパーマン」が14年前に出た曲だから。今二十歳の子は5歳の頃にNORAZOの歌を聞いたわけだ。

Q:NORAZOが考える「仕事」とは何か?仕事は何故しなければならないと思うか?

チョビン無人島でパラソルをさして、サンベッドに寝そべってカクテルを飲みながら波の音を聞くなんて、どんなに幸せだろうか?でもこれを1年、2年と続けていても幸せだろうか?日々の生計の問題とは別にして、仕事は日常の満足度を高めてくれるミッションのようなものではないかと思う。光があってこそ影があるように、仕事は人生の楽しみをより存分に味わうための原動力だ。仕事のない休みは楽しくないように。

 

画像出処:大学明日の記事よりお借りしました

Q:好きな仕事をして収入を得たい若者が多いが、現実にぶつかるケースが多い。

ウォヌム:全員が楽しい仕事をしたがっている。仕事に楽しさをくっつけないと続けるのが大変だから。自分の好きな仕事をやれればいいが、それが難しいなら次の策として「きつくなくて続けられる仕事」を職業にする方法もある。

チョビン:何でもやってみる姿勢が必要だと思う。「好きな仕事」をするのも重要だが、自分で何かから「良いことを探す」方法もあるからだ。すべての仕事には想像もつかない面白さがある。各自が持っている賢明さを発揮して仕事に楽しさを探していくプロセスも必要だ。

Q:好きな仕事をすることと、仕事を良くすることの二つとも可能だという意味のようだ。

ウォヌム:「努力も才能だ」という言葉があるそうだ。もしかすると自分の好きでない仕事をやりながらも、好きになれるように努力するのもまた、一つの才能だといえるのではないかと思う。

Q:仕事と愛のうち一つを選ぶとしたら?このような質問に二人とも愛を選んだ。

ウォヌム:結局すべての愛は仕事をさせる原動力だと思う。「愛する恋人のために一生懸命働かなくちゃ。」「両親のために働かなくちゃ。」「私が愛するブランドバッグを買うために働かなくちゃ。」すべてが結局は愛のためだ。

チョビン:一方で、その愛が利他的であることを警戒する。利他的な愛は良いきっかけになるが、「私はあなたのためにこんなに努力しているのに…」という感情のように「誰かのせい」へ変質したりする。だから「自分を愛するため仕事をする」人生を生きるべきだ。そうすると自分がやる全ての事が些細なことではなくなる。自分がやる全ての行動に意味を持たせることができる。

Q:今日を一生懸命に生きる20代にかけたい言葉があるなら。

ウォヌム:「極端な選択」という表現を警戒すべきだという話を聞いた。「自殺」を一つの選択肢と考えてはならないという話だ。自分のためなら自分の身を投じる選択をしない。今すぐチョコレートを食べたい、遊園地に行きたい自分を死なせないはずだから。若者の憂鬱が大きい今の時代には、自分自身をもっと愛さなければならない。人生が思い通りにならないなら、自分のため、あるいは誰かのために何かできないだろうかと考えてみるのもいい。

チョビン:想定外の事が楽しさをもたらすこともある。人生は深さが見えない海のようなもので、飛び込んでみないと分からないことがあまりに多すぎる。INFJ(提唱者型)である私もNORAZOをやる前はチョビンのような人になれるとは思わなかった。人生の想定外の変数がもたらす楽しみに期待し、楽しむ姿勢が必要だ。


記事原文↓
https://univ20.com/112867

(日本語訳:花かんざし)


◆単語ノート◆
・-지만은 않다…~ことだけではない。~とは限らない。
・한숨 돌리다…一息つく。ほっと一息つく。
・의아하다(疑訝하다)…いぶかしい。疑わしい。怪訝だ。
・공감대(共感帯)…共通の意識、共感領域、コンセンサス
・정서(情緒)…情緒、感性、感情、感覚、気持ち、感受性
・거칠어지다…荒くなる。ざらざらしてくる。荒れる。すさむ。


なかなか興味深いインタビュー内容だったと思います。特に後半、愛についてのチョビンの考え方には考えさせられました。利他的な愛というと、他人のために尽くす愛だからいい事のように思いますが、他人のための愛が行き過ぎると、他人のために尽くしている自分を愛してしまうので、思ったような見返りがないことに腹を立ててしまう状況に陥ってしまうことを警戒すると言っているのですね。本来、利他的な愛とは、見返りを期待するものでなく、他人のために働くことこそが自分の喜びになるもの。それがチョビンの言う「自分を愛するため仕事をする」人生なのですね。

ウォヌムの言う、「極端な選択」という表現は私も韓国語の記事で見かけるたびに違和感を覚えていました。婉曲な表現の一つなのかもしれませんが、選択肢の一つのような表現が悩んでいる人に与える影響についてまでは考えていませんでした。それからウォヌムもやはり利己愛(自己愛)そして利他愛に言及していますね。

最後の方にチョビンがINFJだとありましたが、これは「MBTI診断」といって簡単な質問に答えていくことで16種類に分類された性格のどれに当てはまるか診断できるもの。韓国で数年前からとても流行しているようで、自分が何タイプか即答できる人が多い印象です。どこかのラジオ番組でウォヌムも自分のMBTIがどのタイプかを語っていましたが、あいにくメモした紙がどこかにいってしまいました~~
ちなみにMBTI診断で検索すれば日本語サイトも出てきますよ~